プログラマ行進曲第二章

主にソフトウェア関連の技術をネタにした記事を執筆するためのブログ

話題になっているSF小説『三体』を読み終えました

表題の通りで、中国のSF小説『三体』を読み終えました。

評判に違わぬ面白さで、「面白い小説を読みたい。でも自分にとって面白い小説見つけるのは難しい」と思っていた私にとっては、評判に釣られて読んでみてよかったと思います。

そもそも『三体』とは何か?

『三体』とは中国で爆発的にヒットし、海外でも人気となったSF小説です。

三体

三体

私がダラダラと書くより、版元の早川書房さんが書いている以下の記事を読んだ方が分かりやすいですね。というか私も購入前に以下の記事を読んで購入するかどうかの参考にしました。

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『三体』を読み始めたきっかけ

会社のSlackのチャンネルに読書好きな人向けのチャンネルがあり、そこで話題になっていたというのが一番のきっかけでした。ツイートした時期を見ると7/10には購入して読み始めたようですね。覚えてないですが。

上記のSlackチャンネルはあまり活発というわけではないのですが、普段から本を読んでいる人が面白かった本を書き込んだりするので、最近情報収集する手間をかけてない私としては積ん読本の候補選びの参考にしています。

今回の『三体』の場合、1人だけでなく、複数人が読み始めて話題にしていたので、その流れに乗ろうと私もAmazonのKindle版購入ボタンをポチッとして読み始めました。

あと、多分に早川書房さんとか書籍関係者、読者の人がこぞって『三体』に関する投稿をネットに投げ込んでいて話題になっているのを見かけたのもきっかけの一つです。

私のようにネットでの話題に影響された人も多かったためか、発売してから一ヶ月も経たずに10万部を突破していたようです。現時点だとさらにどれくらい売れているのか調べていませんが、SFという枠を超えて日本の市場でベストセラーの仲間入りしているのは間違いないでしょう。

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『三体』を読んでの感想

私が『三体』を読み終わったのはつい先日なのですが、その時の感想ツイートがこちらです。

読み始めたのが7/10で、途中時間をかけられなくて読み終えたのが9/4と、読了まで2ヶ月近くかかっていることになりますが、最近の私の小説を読み進めるスピードと勢いを考慮すると、これはかなり速いスピードで読み終えていて、それだけこの『三体』という本が面白かったんだなと改めて思いました。

普段練習もしていないので『三体』の面白さを紹介するにはどうしたらいいかよく分からないですが、もしここまでの文章を読んでみてまだ『三体』を読んでない & 梗概レベルの展開を知っても問題ないという人は、『三体』の翻訳に関わった大森望氏のあとがきを読んでみると、『三体』の面白さとその話題性・立ち位置などが見て取れるので、以下の記事に目を通してみるといいと思います。

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上記引用したあとがきで大森望氏が記されているように、日本語版『三体』は翻訳に非常に力が入っていて、どれくらい入っているかというと、「原文が中国語で書かれて翻訳されたとは思えない。最初から日本語で書いてある小説みたい」という感想「しか」出てこないくらい自然な日本語訳になっていて、読みやすさが翻訳物なのに段違いにいいというのが個人的に一番好印象なポイントでした。

学生時代英米文学専攻の学科にいて、英語限定でしたが原文と翻訳をそれなりに嗜んできた経験からすると、だいたい翻訳された作品は文体が自然な日本語であってもどことなく「翻訳しました」という匂いが抜け切れてない箇所が発生し、そこが読書の際に引っかかるということが多かったのですが、この『三体』の場合はそれが全くないのが驚きでした。

これには『三体』がSF小説で、たとえ舞台が中国だったとしても内容が越境的になっていたということと、上記引用した大森望氏のあとがきで触れられているように、大森望氏が「翻訳原稿をもとにして、現代SFらしくリライトするというフィニッシュ・ワーク」するという工程があったことの産物なのだと思います。

個人的な推測を語ると、この翻訳物とは思えない読みやすさが『三体』の爆発的なヒットの下支えになっていたのだと思います。

相当の本好きでも無い限り、普段の生活の忙しさに巻き込まれると、いくら読んでいる本が面白くてもちょっとした障害に引っかかるだけで読み通すのが不可能になると私は思っていて、翻訳物特有の「ここ、翻訳した箇所です」といった読みにくさはそういった障害になって読書を妨げることが私の場合多かったので、その読みにくさがないことは『三体』を最後まで読み通す助力となり、その結果ネットに感想を書きやすくなるといった流れが生まれたのかな?なんて思ったりしました。

とまあ、ここまで読みやすさについて書いてしまいましたが、中身は普通に面白く、私みたいなにわかSF好きな人間でも楽しめる間口の広さはありつつ、(おそらく)本格的なSF(なのだろうと思える)描写がふんだんに話を彩っており、早く続きが読みたくなる。『三体』とはそういう作品でした。

今回翻訳された『三体』は3部作のうちの1部のようで、原語である中国語と翻訳である英語版では既に3部まで出版されているとのこと。日本語訳は第2部が2020年に発売予定とあとがきで書かれていたので、今から楽しみ…というか待ちきれなくて中国語版か英語版で先に読み始めようかなと思うくらいです。

『三体』、オススメです。