さて、ここで重大発表があります。
先日、私が書いた本が出版されました!!
…すいません、誇張しました。正確には私が書いた記事が『ほんのちょっぴりだけ』掲載された本が出版されました。これがその本です。
- 作者: 一般社団法人インターネットユーザー協会,あさいとおる
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2012/04/28
- メディア: 単行本
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この本はその名の通り、保護者の方を主な対象読者に想定したネットリテラシー教科書で、「ユーザーの視点でインターネットにまつわるさまざまな問題の解決に取り組む団体」*1である一般社団インターネットユーザー協会(以下MIAU)が主導となって作られました。執筆陣に多数の著名な方を迎えたほか、MIAUがネットで幅広く執筆者を募ったところが特徴的だと思います。かくいう私もそういう経緯で記事を寄稿しました。以下がその時の募集要項です。
この教科書のコンセプトやターゲット読者層が上記リンク中の「エントリーから入稿までのワークフローや文章の仕様に関して」という資料に記載されているのですが、悲しいかな、ネットではリンク越しの文章は読まれない傾向にあるので、分かりやすいようにこちらに転載しますね。
コンセプト
- インターネットやそのサービスに対して、「こどもの話が全然わからない」と感じている人たちに、以下のように読んでいただける教科書にする*2。
- なるべくわかりやすく(技術用語は控えめ)
- 面白く(たとえ話を多め)
- 今さら人に聞けない仕組みや、これまでよく考えたことがなかった問題を解説。
- まず多くの人が使うようになった利便性や、それによって起こった社会変化にフォーカス。
- そのあと、それを悪用した例と対策、意図せず起こってしまう問題と解決方法などを示す。
ターゲット
- 保護者像
- 子育てには献身的だが、ネットのことがわからない。
- 子供の年齢は、小学校高学年から高校生まで。
- 携帯電話などでのネット利⽤用経験はアリ。
- 教育者像
- パソコンは使うが携帯はあまり使わない。
- ネットに関する⽣徒指導のポイントが掴めない。
- 子供の行動、心理や悩みを理解したい。
これを見てもらえれば分かるように、普段ネットをあまり使ってない保護者を主にターゲットに置いている教科書です。なので普段からネット漬けの生活を送っている方にとっては自明すぎることばかりかかれていると思います。そういったネットに強い方は是非近くの「ネットに詳しくない方」に薦めてもらえればと思います。
これは勝手な想像ですが、上で引用したこの教科書のターゲット読書層は「必要最低限のネットの知識や作法を知りたい」という潜在的ニーズを持っていると思います。そういったニーズを満たす情報はネットにはゴロゴロしていますが、このターゲット読書層はネットに詳しくないから中々その情報に辿り着けないでしょう。この教科書の存在すら中々気づけないと思います。そういった方に必要な情報を届けるにはネットに詳しい皆様のアドバイスが必要なので、機会があれば薦めてもらえれば幸いです。
ここまで書いてみてレビューがまだできていないので私なりのレビューをしてみます。
私が担当したのは「炎上」の項目のみで、献本されてほぼ初めて他の方の原稿を見たところ、内容の分かりやすさと一貫性が取れていることに驚きました。たまたまの偶然なのか、はたまたMIAUの編集の賜物なのか、私が書いた炎上対策の基本的な原則とほぼ同じことが他の項目でも書かれているなど、内容の矛盾や齟齬が見受けられなかったので、ネット初心者が読むときに混乱しないような内容になっているかと思います。これは裏を返せば「一方の視点から見たネット観でしか無い」というデメリットでもありますが、それは今後リリースされる予定のWeb版に期待したいと思います。初めて執筆という立場に関わってみて分かりましたが、限られた紙幅では書けることに限界があるので、ここは仕方の無いところかなー、というのが個人的印象です。私の原稿でも書きたいけど書けなかったことがありますし。
他の読者の方が読んで気になるであろう点として、「内容が今現在のことに偏りすぎていないか?」ということにも言及しないといけないでしょう。「ツイッター」「ミクシィ」「モバゲー」「グリー」「Wii」「PS3」「XBox360」など、5〜10年もしたら陳腐化しているであろう*3固有名詞や固有の使い方に割かれている分量が割合多く、「教科書の内容がすぐに陳腐化するのではないか?」と言われたら、否定できないですね。文章の編集方針でこうした理由があった気もしますが、すぐに探し出せなかったので、気になる方はMIAUに意見を送ってみるといいかと思います。
あんまりレビューっぽいことが出来てませんが、一つのパッケージとしてわかりやすく今のネットの全体的な知識が得られる数少ない書籍の一つになっていますので、購入もしくは周りの方への推薦をしてもらえれば、執筆者の一人として嬉しい限りです。