プログラマ行進曲第二章

主にソフトウェア関連の技術をネタにした記事を執筆するためのブログ

『進化するグーグル』を読んで気づいた「GoogleとAppleの共通点」

先日購入した『進化するグーグル』を読んでいたら、思いがけず「Googleという会社とAppleとの共通点」を発見したように思ったので、備忘録代わりにブログに書いてみることにします。

今回の主題である「GoogleAppleの共通点」を一言でズバッと言い切ってしまうなら、「個々のサービス・製品で価値を生み出すのではなく、提供しているサービス・製品が連携することでユーザーに価値を提供することである」と私は『進化するグーグル』を読んでいてそう思いました。

進化するグーグル (青春新書INTELLIGENCE)

進化するグーグル (青春新書INTELLIGENCE)

この本の中でGoogleがインターネットの世界で一人勝ちしている理由として述べられていることは、

  • Googleが提供しているサービスは全て密接に連携していること」
  • 「その連携の仕方は一見しては分からないが、Google設立当初からの理念に基づいていること」
  • 「サービスが連携することでおのおののサービスの質を高めていること」

であると私は解釈しました。そう解釈するに至った部分を一部抜粋して以下に引用してみます。なお、以下に引用する部分の赤字処理は全て当ブログの筆者である私によるものであり、原文にはないことを明記しておきます。

第4章 “ひとり勝ちの真の理由”(p106〜p107)から引用

 グーグルをライバル視する米マイクロソフト社や米ヤフー社も、グーグルの後追いではあるが、地図サービス、メールサービスなどを展開している。
 マイクロソフトの地図サービスはグーグルマップよりも航空写真を大きく拡大できる。また、ヤフーの地図サービスは商業施設の情報が充実しているなど、グーグルに勝る面もある。
 しかし、他社はグーグルの後を追って、ここのサービスを強化しただけに過ぎない。これに対してグーグルマップは、水面下ではグーグルの本分でもある検索サービスや広告事業としっかり結びついている

同じく第4章 “ひとり勝ちの真の理由”(p111)から引用

 たとえば「Spirited Away」と入力して「千と千尋の神隠し」、「小泉八雲」と入力して「Lafcadio Hearn」と翻訳してくれるのはグーグル翻訳くらいだろう。
 このようにグーグル社では、一見関係ないように見えるサービスでも、すべては根底でWeb上の情報、知識の解析(整理)と活用という同社のミッション・ステートメントにつながる形で連携し1つのサービスの質の向上が全体の質の向上にもつながる仕組みがある

引用したこれらの部分からも分かるように、Googleは単独のサービスで価値を生み出しているのではなく、提供するサービス全てが同社の理念を軸にして連携して価値を生み出し、ユーザーにその価値を提供していると言えます。

では、Appleの場合はどうなのか?

私は『進化するグーグル』の上記に引用した部分を読み、「Googleの価値は、Googleが提供する全てのサービスが同社の理念を軸にして連携していることだ」という感想を持つと同時に、同じ著者による次の本の内容をつい思い出してしまい、GoogleAppleの共通性と思しきものに気づきました。

iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり

iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり

この本はiPhoneを主題に取り上げていますが、iPhoneという製品の魅力だけでなく、iPhoneという製品を形にするための背景的な思想を探ったり、魅力的な製品を作り出す視点を提示したりするなど、「ものづくり」に必要な思想・考え方をそこかしこに示唆しています。そんな本書内の一部に、次のように書いてある箇所があります。

第2章 非常識なケータイ(p54)から引用

 日本のケータイのエンジニアたちにiPhoneを見せると、皆が驚くことがある。それは、画面に表示されるどの機能どのアプリケーションを触っても統一感があることだ。
 例えば、株価情報も天気情報もきれいなグラフィックスで統一されている。右下にある「i」ボタンを押すと、画面が左右にくるっと回転して設定画面が現れるなど同じ操作や雰囲気を作り出す。すべての機能が一つの製品として非常にうまくまとまっている印象があるのだ。

同じく第2章 非常識なケータイ(p55〜p56)から引用

 あるケータイメーカーは、
「日本ではキャリアの力が大きく、端末メーカーとコンテンツ開発者が直接連携したり、連絡を取ったりしにくいという暗黙のルールがある」
と事情を説明する。
 こういう状況の下にいると、メーカー側も徹底した顧客指向の姿勢を貫けなくなってしまう。日本のケータイでも、例えばKDDI(au)が提供する「EZナビウォーク」(歩行ナビゲーションサービス「ナビタイム」のau専用版)では、アドレス帳の住所と連携する機能があるが、iPhoneほどエレガントに動くとは言えない。
 だからこそ、既存のメーカー、特に日本メーカーにとっては、iPhone徹底した顧客志向に基づいた連携機能が衝撃なのである。

上記二つの引用箇所だけでは理解に不十分かもしれませんが、『iPhoneショック』全体を読んでもらえれば、iPhoneの魅力の一つに「初めてiPhoneを触った人でもすぐに使いこなせるようになるくらい、アプリケーションの使い方が統一されていて使いやすいこと」があることが分かると思います。実際、私も家族の一人がiPod touch(電話機能がない以外はiPhoneとほとんど一緒の製品)を購入して使っているのを見ているのですが、確かにアプリケーションの使い方は統一されていて使いやすそうだという感じがしました。

Appleが世に送り出したこのiPhone徹底した顧客志向に基づいた連携機能という点と、Google一見関係ないように見えるサービスでも同社のミッション・ステートメントにつながる形で連携し1つのサービスの質の向上が全体の質の向上にもつながる仕組みがあるという点と共通していると思いませんか? 少なくとも私には、『iPhoneショック』で語られているiPhone(=Appleの製品)の特質と、『進化するグーグル』で語られているGoogleのサービスの特徴が重なり合っているように思えました。そのため、私は今回の記事の頭に、GoogleAppleの共通点は「提供しているサービス・製品が連携することでユーザーに価値を提供することである」と書いたのです。

今回検討した二冊の書籍は同じ著者によるもののため、私が今回の記事で出した結論はいささか偏った意見になっているかもしれません。私は単なる一素人のため、正確さに欠いている部分や思い込みが多い部分もきっとあるでしょう。しかし、ITの世界で躍進を続けており、イノベーションを常に感じさせる企業であるGoogleAppleという企業を今回の結論のような観点で見てみると、今までとは少し違ったGoogleAppleの特徴が見えてくるのではないでしょうか?